初度適用についてのナレッジノート
適用初年度に作成する財務諸表
①適用年度の財務諸表
②比較の年度の財務諸表
初度適用とはIFRS適用初年度のこと。
初年度は、適用年度の財務諸表とその比較情報を作成する必要がある。
例)2020年4月1日を移行日とする場合
2020年3月期からIFRS適用であれば、2019年度3月期の財務諸表が比較情報となる。この比較情報である2019年度3月の財務諸表もIFRSで作成する必要がある。
適用するIFRSの基準
抑えるポイントは3点
①適用されるIFRSは、当該年度の期末日において有効になっているIFRS
例)先ほどの例でいうと 2020年3月31日(当該年度の期末日)
②当該年度の期末日において、適用されていないものの早期適用が認められている基準がある場合は、当該基準の適用を選択することができる。
③仮に、現在有効な会計基準で、比較情報の年度では有効でなかった会計方針があった場合うにおいても、適用年度と同様に比較情報にも適用する。
IFRSの遡及適用
各項目の数字はどこまで遡ってIFRSに基づいた財務諸表をつくるのか。
→可能な限り過年度にさかのぼって適用する。
(実務上困難な場合は可能な範囲→開示する)
過去に遡ってIFRSを適用したことによるIFRS移行日までの影響額の累積値は、財政状態計算書において利益剰余金の調整として認識し、残高に含まれるようにする。
→遡ってPLに利益が出たりはしない。BSの利益剰余金調整額とする。
IFRSを始めて適用する会社は、免除規定&例外規定にも留意する。
①【免除規定】遡及しなくていい
理由は、実務上困難だから
・企業結合
移行日よりも前に生じた企業結合については、IFRS3号を遡及適用しないことが認められる。
・みなし原価
有形固定資産、無形資産、投資不動産、使用権資産は、IFRS移行日の公正価値をみなし原価として使用できる。
・為替差額累計額
IFRS移行日の残高をゼロと見なすことが認められれる。
②【例外規定】遡及してはだめ
組み込みデリバティブ
被支配持ち分
金融資産の分類及び測定
ヘッジ会計
新しい情報による見積のし直し
金融商品の認識の中止
連結グループでの会計方針の統一
IFRSでは、グループ全体で会計方針の統一が求められる。
こでいうグループとは、
・親会社
・子会社
・関連会社
・ジョイントベンチャー 等
すべてが対象となる。
ゆえに、初度適用時には各社の会計基準が親会社の会計方針書等のグループ方針に則って処理が行われているか確認する必要がある。
また、遡及免除規定を採用する場合も、グループ全体で同じ選択をする必要がある。